都市伝説シリーズ その④『夜這い』古代から昭和初期ごろまで日本に存在した文化、風習
『夜這い』
さて『夜這い』は都市伝説ではなく、
かつて実際に存在していましたので「事実」です。
「都市伝説じゃないじゃん」と言われてしまいそうですが、
そこはご容赦ください。
なので「へぇー、それは面白いね」程度に思っていただけると幸いです。
もちろん現代では、夜這いは「犯罪」ですからね。
やめましょう!!!
目次
民俗学者 赤松啓介
(画像はamazonから引用)
夜這いの文化・風習については、あまり触れられていません。
かつて日本に存在した夜這いについて研究されました。
私も大学生の頃、赤松さんの本を読みました。
夜這いの文化を知ったとき私は価値観が変わるほどの衝撃を受けました。
当時の自分の価値観と大きく違っていて、かなりショックでした。
現代では、夜這いは犯罪ですからね。
まだまだ知らないことが多いなと思った学生時代です。
夜這いとは
古代から昭和初期ごろまで日本に存在した文化、風習です。
夜這いとは男性が女性の家へ行き一緒に寝る事。
親が留守のときはチャンスだったようですが、
仮に親がいてもこっそり忍び込んでいたらしいです。
事前に「今日行くよ」的な約束をしてから夜這いすることが多いそうです。
ムラ(村)によってルールが異なる
ムラによって夜這いのルールに地域差があったようです。
例えば 大人なら誰にでも夜這いをしてOK
未婚の者に限る
よそのムラの者はNG など
拒否権あり
もちろん女性に拒否権はあったようです。
嫌いな人が来ても困りますよね。生理的に受け付けられない等。
夜這いのルールを決めるのは?
大人になると男女分かれてムラの「青年団」に入るそうです。
年齢、性別によって分かれたいくつかの青年団によって
ムラのルールや秩序を守ったりしていたようです。
大人といっても昔は13歳~15歳くらいで大人ですので、
現代とは違いますね。
青年団とはムラの警備や消防、その他の理由から自然的に発生した団体だそうです。
例えば若い男は「若者組」、若い女は「娘組」など
ここだけの話ですが…
女が集まり力を持つと、学校でも会社でも恐ろしいですよね。
明治以前、農漁村を中心に重婚、夜這いは当たり前でした。
農作業の合間に性欲の発散をしていたのでしょう。
肉体労働ですからね。
娯楽も少なかったでしょうし。
また夜は電気などないため暗かった。
夜這いしてもバレにくかったのでしょう。
「日本人はかつて性におおらかであった」
重婚、夜這いは現在では悪いイメージがありますが、
よく言えば「ムラで生まれた子供はムラのみんなで育てよう」
「みんなのストレス、性欲を発散させ、秩序を保つ」
当時はメリットが大きかったのでしょう。
このように「日本人はかつて性におおらかであった」とよく言われます。
性におおらかだったのは、かつての日本だけじゃないとは思いますが。
ちなみにイケメン国王で有名なブータンでは
今でも夜這い文化が残っているそうです。
現在の一夫一妻制、純潔思想からは考えられないですね。
芸能ニュースでは毎年有名人の不倫が報じられますが、
不倫が当たり前の時代もあったんですね。
特に収穫後のお祭り(収穫祭)では乱●
食い物が収穫できた→神様に感謝→これで1年間生きていける
→祭りだ→宴だ→乱●だ→子供作るぞ
乱●は「ザコネ」と呼ばれていたそうです。
性教育、大人になったお祝い、儀式について
戦後の昭和~平成では性教育はあまり教えない時期が多かったり、
生々しいくらい教えすぎな一部の事例などニュースで見たことがあります。
どこまで教えていいのか?試行錯誤しているように思います。
さて、明治以前の農漁村では子供から大人になる時、
ちょうど13歳から15歳くらいですが性教育をしていたそうです。
ムラで誰が担当するかを話し合ったりして、実技を交えて教えたそうです。
ご興味ある方は『花園メリーゴーランド』(柏木ハルコ ビッグコミックス)
という漫画がオススメです。
(画像はamazonから引用)
都市化とお金になる性風俗産業
労働者として男が大量に集まる「都市」ができたためです。
江戸の男女比率は?
幕府を開いた頃の江戸(1600~1620年くらい?)は約15万人であったそうです。
1721年の人口調査では町人が約50万人だそうです。
それに参勤交代で来ていた武家約50万人?
を加えたくらいが江戸の総人口らしいです。
1721年の男女比率は町人で 男性323,000人 に対し 女性178,000人
武家は男性が大多数ですので、男性が多かったことがわかります。
当然秩序を保つため、江戸でも遊郭が賑わうわけですね。
貧困により農村から売られた女性も多数いたことでしょう。
明治以降
西洋文化を取り入れ富国強兵していた明治ごろ、
「一夫一妻制」「純潔思想」が取り入れられました。
当然「夜這い」もNGになっていきます。
大正天皇以降は側室を廃止されました。
徐々に国民にも浸透していきましたが、
夜這いは一部の農村で昭和初期まで続いていたそうです。
最後に
「夜這い」や「乱●」と聞くと
ちょっと穢らわしい、不潔などと思ってしまいますが、
その時代の人々にとっては日々のストレス発散、ムラの秩序の維持など
生きていくため必要な仕組みであったのです。
休日の天気がいい昼間、青空を見上げながらふと思いました。
今、自分たちがいるのはご先祖様たちが生きていたから。
それは現代を生きる全員に言える事です。
重婚、夜這いがあった時代も、
純血主義、一夫一妻制の時代でも
私たちのご先祖様は確実に、間違いなく、
旧石器時代、縄文、弥生、古墳、飛鳥、奈良、平安、
鎌倉、室町、安土桃山、江戸、
明治、大正、昭和、平成、令和のどこかで、
何世代も続いて生きていたのです!!
当たり前のことなのですが、
ご先祖様たちがいなければ自分も存在しない。
例えば自分のご先祖様のうち誰かは必ず歴史上の人物と同じ時代を生きていた。
第一次・第二次世界大戦の時代をどこかで必死に生きた。
実際に何をしていたのか?まではわかりませんが
確実に生きて子孫を残していた事はわかります。
そう考えると今を生きている事の素晴らしさ、
一人の人間として大切な歴史を感じます。
参考
赤松啓介『夜這いの民俗学・夜這いの性愛論』筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉