皆様、あだち充の作品『H2』を読んだことはありますか?
最終回の解釈について
恐らく多くの方が誤解し続けているのではないでしょうか?
ひかりを賭けて、比呂と英雄が対決!
と勘違いしたままになっていませんか?
違いますよ!!
最後が曖昧でわからず
モヤモヤしたままになっていませんか?
そんな方々に向けて
このブログを書くことにしました。
そういう私も
H2を読んだ15年前から今まで誤解してましたし、ずっとモヤモヤが残っていました。
最近たまたま漫画を読み返したのですが
なんだ?なんだ?と悩みながら、
他の方のブログ等を参考にしながら、
ようやく理解できました。
あぁ、なんて深い作品だったんだ。
当時子供だった私に理解出来るはずもない。
よほどの恋愛マスターや
読解力MAX人間でない限り
なかなか理解できない。
※もちろん、読者それぞれに、それぞれの解釈があって良いと思います。
H2は大切な場面でセリフなどをはっきりと書いていない作品なので、読者の想像に委ねる部分が大いにあります。
セリフなしの、絵だけのコマをよく使うとか有名ですよね。
しかし
私の大好きなこの作品について
私なりの解釈をまとめたいと思い
このブログを書きます。
結論から書きます。
最終巻、比呂と英雄の対決は
比呂の勝ち=比呂は初恋のひかりを完全に諦めて先へ進む
比呂の負け=比呂はひかりと今まで通り曖昧な関係を続ける
以上。
英雄と我々読者は
ひかりを賭けた勝負!勝てばひかりが手に入る。負ければ諦めると思い込んでいた。
(もちろん一部のカンのいい読者は除きます)
(キミのような勘のいいガキは…笑)
そう。英雄と我々読者は何も分かっていなかったのです。
詳しく上記の理由を解説します。
【比呂にとって最後の対決は】
勘違いするな英雄!
俺はひかりと結ばれることはない。
もう一度比呂か英雄かを選ばせるなんて、
ひかりに対して酷いこと言うな!
俺はひかりが大好きだから、
そんなひかりを悩ますお前に怒ったぞ!
ひかりが決めたのは俺じゃなくてお前なんだぞ!
でも少しだけ未練があるんだ。
勝負に勝ってひかりへの未練を断ち切るか
勝負に負けて今まで通りの曖昧な関係でいるか
そうなんです。
比呂がなぜあんなに怒ってたのか。
どうしても勝ちたいと思っていたのか。
上記のような理由があったのです。
でもほんの少しだけ、比呂は負けて今まで通り曖昧な関係が続くことも望んでいた。
その根拠は
①(英雄の最終打席での大ファール)どうしても俺に勝てってかのセリフ。
②野田に対して、あまり俺を信用するなよのセリフ。(ワザと英雄に打たれる=今まで通り比呂とひかりは曖昧な関係を続ける)
つまり、親友の英雄と大好きなひかりの関係が(比呂が初恋についてひかりへ想いを伝えたため、実はずっと前から英雄との関係に違和感を抱いていたひかりが、余計に迷ってしまったから)危うくなっている。英雄が弱みを見せないからひかりの居場所がない。
しかし実は、その時点で既にひかりは英雄を選んでいた。比呂もそれをわかっている。(ひかりのさよならのセリフ)
もうすでに比呂とひかりが結ばれることは決してないのに、もう一度ひかりに英雄か比呂かを選ばせるとか言い出すような、何も分かっていない英雄に対して怒っていた。
でもほんの少しだけひかりに対する未練、迷いも残っている。
【英雄にとっての最後の対決は】
比呂がひかりを好きなのがわかっている。
もちろんその反対も、うっすら気付いている。
中学時代に、比呂が俺と初恋で戦えなかったというのなら、いま戦う!勝負に勝ってひかりを渡さない!
つまり英雄はこの勝負の本質について、
何も分かっていなかった。
勝てばひかりが手に入ると思い込んでいた。
英雄は真っ直ぐすぎた。
人には必ず弱い部分がある。
今まで英雄はひかりに対して弱みを見せなかった。
真っ直ぐすぎて融通が効かないところ、
だけど最も大切な場面、最後の一球で比呂の投げる球がストレートではなく高速スライダーと一瞬疑ってしまったこと。
そんな英雄の弱い部分がはっきりとわかった瞬間だった。
英雄の弱みはひかりがいられる場所でもある。
お互いが支え合える関係にならないと、
バランスが崩れて、本音も言えない。
弱みも見せてよ! となる。
英雄はそこにいつもカギをかけていたから、
ひかりは入れなかった。
比呂との勝負に負けて、英雄はやっと理解できた。
【H2のテーマは初恋】
さて、比呂とひかりは両思いです。
相性もバツグンです。
しかし、お互いにパートナーがいるし、
特にひかりは英雄と恋人として既に長い時間を過ごしてきたため、
お互いがお互いを大切だと思っているからこそ、
今更遅いから、お互いの気持ちを終わらせようとする。
しかし、なかなか終わらず曖昧な関係が続く。
比呂にとって切ない初恋のお話。
ひかりにとっても切ないお話です。
比呂成長おせーよ!
そう。初恋がH2のテーマなのです。
初恋を伝えられず、その想いをそっと胸にしまい続けた比呂が、初恋の未練を逃げる事なく終わらせ、未来へ進もうとするお話なのです。
切ない。なんて切ない物語なのでしょう。
【ひかりの迷い】
英雄と付き合った後、中学2年?で比呂に身長を追いつかれ、追い越され、比呂の魅力に気づいてしまう。
高校でもやはり比呂が大好きだと感じたり、
各種イベントで比呂と近づいていく。
そんな比呂に対する気持ちを気付かれないよう誰にも言わなかった。
しかし英雄と小山内、恐らく野田には薄々気づかれてた。
物語後半は英雄との関係に少しずつ違和感が出始める。
■以外の部分については難しいです。ひかりが号泣するシーンがあるのですが、セリフほぼなしなのです。諸説あり。あだち充先生のみ知る?とりあえず私の見解です■
そしてついに物語終盤、
比呂もひかりの気持ちがわかった。
(がんばれ、負けるな×3回。ごめん。のくだり)
(英雄と比呂の両方好き。でも恋人は英雄で間違いない。しかし英雄との関係に違和感ありで、泣くくらい困ってるし、迷っている。
比呂はひかりの母の時など困ったときに助けてくれたり、比呂は海みたいで、がんばらなくちゃという気持ちになれる。最高の幼馴染)
その時点で、もうすでにひかりは英雄を選んでいたのです。
ひかりの初恋は英雄で間違いない。
そしてたくさんの思い出を作ってきた。
比呂もそれはわかっている。
決して結ばれる事のない、両思いの幼馴染。
もしも2人が英雄と出会ってなければ…
もしもひかりを紹介した相手が英雄でなければ…
比呂とひかりが結ばれる未来もあったのでしょう。
■以上。とりあえず私の見解でした■
【既に比呂は春華に決めていた】
比呂はひかりへの初恋の未練を断ち切らないと未来へ進めない。
高校で春華と出会い、春華から明らかな好意を寄せられているなか、比呂自身も少しずつ春華の魅力に惹かれていく。
アイラブユー発音のくだり。
かまくらの思い出の上書き。
春華のおかげで前へ進める。のセリフ。
でもやっぱり少しひかりに未練がある。
揺れる思い
曖昧な関係
しかしどこかでこの初恋に
白黒付けなきゃいけない。
比呂は前へ進めない。
それが決まったのが英雄との対決になった。
ひかりの最初から選らぶ権利なんてなかったの意味
つまり比呂は既に春華に決めていた。
ひかりの父との長生きする奥さんをもらえよのくだり
→春華へ長生きしろよと伝えた
=春華が奥さんになる
スチュワーデスなれよ
=プロ野球選手(自分)の奥さんになれよ
そして古賀春華がいてくれたから
未来へ進める。
比呂は春華に出会えてよかったね。
最後のゆず『夏色』は
歌詞がそのまんま
比呂のひかりに対する気持ちでしょうか?
そうだいつかのあの場所へ行こう
真夏の夜の波の音は
不思議なほど心静かになる
→いつか一緒に行った海?
甲子園の近くのあの海?
いつか一緒に遊んだ空き地?もうないけど
(ひかりが)いつかきみの泪が溢れそうになったら
(英雄がいるから比呂は)何もしてあげられないけど
(比呂は幼馴染としてひかりの)少しでもそばにいるよ
切ない初恋の終わり。
そして未来へ!
おまけ
野田くん目線で見ると比呂とひかりの関係や最後の対決の意味がわかるよ。彼は全て分かっている。すごいぞ野田くん。